ロビタと人間のただれた生活


「疲れて家に帰ってくると、こいつがしっぽふって
 寄ってくるんですよ。それだけで癒されますねー。」
「餌の時間になると、私に甘えてくるんです。
 もう、ぎゅーっと抱きしめたくなります。」
ペットを飼っている人の一般的な話である。
なんだそれは。
なんだその楽しそうな風景は。
陸ガメとの生活にはそんな浮かれた感じは全くない。
朝9時になると、ケージをガリガリやって、
俺さまのことを思いだせ!
俺さま、ここにあり!
飯だ!風呂だ!と暴れだす。
うるさいのだ。
ロビタはこれでもおしゃれな朝風呂派。
風呂といっても、人間と同じ風呂である。
あぁ、昔はちっちゃないちごのケースで
入浴していたのに、とため息がでる。
お湯におなかがつくとキモチ良さそうにしている。
少しお湯を飲んだりもするようだ。
キモチいいらしく、風呂の中で糞尿を大量にする。
はぁ…。毎晩、この湯舟には人間だってはいるんすけど。
ここトイレじゃないんですけど。
ぶつぶついいながらも風呂からあげて、掃除をする。
というわけで、毎朝風呂の大掃除。
うちの風呂用洗剤の減りはただごとではない。
そのかわり、いつもピカピカだ。
ロビタは草食なので、キャベツ、レタス、
きゅうり、こまつな、チンゲン菜などを食べる。
一番の大好物はトマト。
トマトの時は明らかに目の色が違う。
飢えたオオカミのような目になってがっつく。
赤いものは皆トマトに見えるらしく、
赤い靴下をはいていると、凶暴に向かってくる。
その習性を利用して、ロビタに運動をさせたい時には
人間は赤い靴下をはいて、ベランダをいったりきたりする。
そうすると、執念深くついてくるので、いい運動になる。
やりたくてやってるんじゃない。
できるならひとりで運動してほしい。
でも、ほっとくと全然動かないし、
カメは運動をさせないと、甲羅の重みで歩けなくなってしまうからだ。
さて。
ケージにいれられた野菜は、数分で消えた。
その後は少しおとなしいが、
1時間後ぐらいにはまた、ケージの壁をがりがりやりだす。
次はなんだ?
次は大抵、アレだ。
「また、やっちゃったヨ!」
ってやつだ。
「ごめんヨ!テヘ!」
ってやつだ。
数時間前にあんなに大量にしたっていうのに。。
むなしい気持ちでロビタを見つめると、
「しょうがねーだろ、したんだヨ!
 はやくかたづけろヨ!」
と言っているかのように暴れる。
これをうっかりほおっておくと、
自分の出したもんをまた食べるんですから。
そんで、
「おいら食いしんぼう!テヘ!」
と口のまわりにブツをくっつけて、平然としていますから。
そうなると、口臭どころの騒ぎじゃないですから。
口のまわりにうんこそのものがついてるんですから。
今日はといえば、
糞aと糞bがあっちとこっちにそっとおいてあったのです。
よし。今日は食べられる前に発見できた!
ラッキーだ!
私は、糞aを応急処置的にティッシュでくるむ。
それはもう片手じゃもちきれないほど。
だから、糞aをとりあえずそのままにして、
先に糞bのほうもくるんでしまおうとして、
ティッシュに手をのばしてる隙に…。
ロビタは、ティシュにくるまった糞aを食べはじめる。
ココです!
この瞬間です!
私がロビタのバカ加減にうんざりするのは。
いいんです、糞尿をもらそうが暴れようが。
でも、この瞬間だけは我慢ならないんです。
このグダグダにただれた一瞬が。
こうして、ロビタと人間のけだるい一日がはじまる。
ちなみに、まだ午前中のロビタの様子しか書いていない。
いつか気が向いたら午後の様子も書こう。
でも、トピックス的に夜の話をひとつだけ。
毎晩、夜23時すぎぐらいになると、ぶっ、という音がします。
初めのうちは相方と顔を見合わせて、
二人で「違う違う、俺じゃない。あたしじゃない。」をやってましたが、
犯人はロビタだった。
最近ではもはや、深夜のぶっ、が聞こえても
誰もつっこまないほど、生活音の一部となってしまいました。
こうして、ロビタと人間のけだるい夜がふけてゆく。
陸ガメとの生活はむやみにけだるいのです。