暗やミール報告書ー後編


これも赤い光


暗やミール報告書ー前編を読む
暗闇の中で唯一かすかに見え隠れしていたのが、
料理を運んでくる人の頭にとりつけられている
暗視カメラの小さな小さな赤い光です。
あの光に恋いこがれたのは私だけなのでしょうか。
私は、料理を心待ちにしていたというよりも、
赤い光がやってくるのを心待ちにしていたような気がします。
唯一見えるものに、恋してしまう本能を、
何かに使えないだろうか、などと考えていました。


そんなことはさておき、肝心の食事の話をしましょう。
料理は一品ずつ運ばれてきます。
私とコジマさんは、器を触り、においをかいで、
コレは何だろう、と言い合います。
思ったことは全部口にするので、
かなりおしゃべりになっている自分に気づきました。
のちに、坂下さんから、ササキさんの声が、
一番よく聞こえてきた、と言われたほどです。
どうぞ、という声でみんな一斉に食べ始めます。
何を食べているかわからないので、
ひとくちふくんで、味を確認し、
「これは菜の花ですよね?」「そうですね。」
などと言い合いながら食べてゆきます。
この作業は、化学の実験のようでとても楽しいものでした。
どの食材も、なんとなくなじみのあるもので、豆腐や野菜が中心。
あとで、何を食べたのか種明かしタイムがあるのですが、
においだけでチーズだと思っていたものが、
実は豆腐だったり、と、意外なものもありました。
また、炊飯器で炊いたおにぎりと
土鍋で炊いたおにぎりがでたのですが、
この違いは、きっと暗闇でなければわからなかった思います。
種明かしで聞いて、やっぱり!と思いました。
(土鍋のほうが米がモチモチする)

これでお腹いっぱい


すべての料理が薄味でしたが、暗闇で食べるなら、
これぐらいでなければ、逆にビックリしたことでしょう。
普段、テキトーに流し込んでいる食事が、
実はこんなにいろんな味がしたなんて!
味覚だけに集中したせいで、味のドラマを十分に堪能できました。
もう、味の濃い食べ物なんて二度と食べられないと思いました。
私とコジマさんの間で何度も出た言葉が
「見たい。見て食べたい。」
という、会の趣旨そのものを否定するような願い!
「きっと、きれいに盛りつけがしてあるはず。」
「お皿にもこだわっているはず。せめて皿だけでも見たい。」
と、そんな話ばかりしていました。
本当に、食事の90%は、目でしている、
といっても過言ではありませんね。
見て食べれないというのは本当に残念なことなんです。
逆に、見ながら食べられることの幸せを思い知りました。

以外と狭かった。


暗やミールでいろんなものを克服した私は、
翌日から、
・初対面でもトークばりばりオッケー!
・暗闇へっちゃら!
・素材の味に敏感なスペシャル舌!
・薄味、どんとこい!
…と、パワーアップした「ニュートモコ」として、
新しい人生を送る予定でしたが、
ひと晩寝たらきれいに元に戻ってました。
あーあー。
暗やミールの様子は、本日更新のネットラジオ
「月いちトモコサン」の中で聞くことができます。
プゥ先輩に協力してもらって、
「見て食べられないことがどんなにガッカリか」
という実験もしています。
興味がある方は是非!
月いちトモコサン
暗やミール公式サイト