一ノ瀬志希「秘密のトワレ」発売!

COCC-17093
アイドルマスターシンデレラガールズから、
一ノ瀬志希「秘密のトワレ」で本日CDデビュー!
私は作詞作曲を担当しました。

これのオーダーが非常に難しくてですね…。。。
キーワードは
「香り」「セクシー」「ギフテッド」「二面性」だったのですが、
完成したものを何度も全解体するという迷走っぷりで、
つまり、非常に苦しみ悶えつつ出来上がった曲です。

攻めのお色気女子は難しい、とあらためて思いました。
多分「きゅんっ!ヴァンパイアガール」的な期待をされて、
私がご指名されたのだと思うのですが、
なんだったんだろう、この難しさの違いは!
「香り」という題材だけで、すごくエロいんですよね。
でも、志希ちゃんはあくまでキュート路線。
「香り」に引きづられて、エロくなりすぎないようとどまる力加減、
ギフテッド面と普通の女の子っぽいキュート面の混在のさせ方、
この辺が難しかったところかもしれないです。

でも幸いなことに「匂い」は私のかつての秘密の趣味!
「香りで曲を」と言われた時は、ばれた?とドキドキしました。
かつて匂いを深く追求していた時期があり、
リーマン時代に特別報奨金をもらった時には、
5万円(?)の香りを買ったほどの入れこみっぷりでした。

IMG_1075
(もう10年以上たっているのに捨てらんなくてこの5万の液体。
久々に嗅いだら魔女の実験室みたいないい匂いになってました。)

でも香水の「ラストノート」という最後の残り香がとても苦手という、
致命的な理由で、香水好きとはなれず、自分では香水はほとんどつけません。
量り売りでいろんな香水のフレッシュな香りを匂っては
「へぇ」
と思うのが趣味なのです。
「ファーストノートずき」の変態かもしれないですね。
そんな私が、過去気に入った香水はDEMETERのbon fire(ボンファイヤー)。
リアルな焚き火の匂いでした。
もう日本では売っていませんが…。

そんなわけで、香りに変態的嗜好をもつ私が、
この世界を表現するのにいかにふさわしかったか、
おわかりいただけたでしょうか。
でも、私はそこからさらに、
天才志希にゃんならではの、
香りへの姿勢を見つけなければいけなかったのです。

本棚でホコリをかぶっていた匂い関係の背徳小説
「香水ーある人殺しの物語」をひっぱりだしました。
主人公は調香師なのですが、少女を殺害し彼女の香りを採取します。
この時、ラードに香りを付着させるという原始的な方法で採取します。
一ノ瀬志希ならこのやり方でやってみたいのではないか、と。
ハンニバル・レクターではないですが、
哲学や美学を感じられる方法がギフテッドには相応しいと思いました。

IMG_1073
(本棚のこやしだと思っていた本がここで役に立つとは!)

彼女は、自らのフェロモン的分子をとりだし(フェロモンは無臭)
香水に混ぜて媚薬を作り、好きな男の子に投与します。
彼のフェロモン察知器官を化学の力で直接攻撃し、
堕ちる瞬間(瞳孔が開く瞬間)をみて、征服欲を満たすのでしょう。
そんな彼女ですが、好きな男の子を自分に向かせたい、という気持ちは少女。
もっと普通の方法でこうなりたかったな、ってちょっと後悔するところも少女。

きっと相手は、受け身男子、というやつで、
いくら待っていても、一歩を踏み込んでくれなかったのでしょう。
時を無駄にしたくない彼女は、化学で解決してしまった。
そんな、ちょっともの悲しくて自己中な恋愛。

今までアイドルマスターでは大勢で歌う曲とか、
既にキャラが定着した子の曲しか作ってきませんでしたが、
今回は、キャラの方向性がコレで決まってしまう!
という重要なデビュー曲をまかされまして、
それに賭けるスタッフの皆さんの並々ならぬ情熱を目の当たりにしました。

たくさんアイドルがいればいるほど、
キャラづけが難しくなってくるのはわかります。
でも、どの子も特別な一人になって欲しい、
という思いで作ってるんですよねぇ。
うんうん。

わーん。また長くなりそうー。
私、文章長くてくどくてすいません。
でも、もう少しおつきあい下さい(汗)
ここから先はレコーディングでの話です。

私、レコーディングにはほとんど行かないんです。
遅い時間だと行けないってのもあるんですが。
キャラを良く知る人がいれば十分だと思うし、
そうなると、私は本当に役に立たないし。

でも今回は時間も良かったので行きましたよ。
志希の声優さんは藍原ことみさんです。
この歌は、歌いわけが難しく、
ささやいたり、叫んだり、妖しくしたりして欲しかったので、
一応、バンダイナムコの内田さんには伝えてはあったのですが、
困ってしまうこともあるかも、と思いまして。

スタジオには内田さんとコロムビアの柏谷さんがいて、
藍原さんは表情のつけ方がうまくいかず、難航していました。
数時間後、なんとか形になってきたかな、
というところで、ディレクターの石原さん登場。

石原さんは、藍原さんに「18歳の色気とは」を語り出しました。
私なぞ、歌い方に色をつける程度のことしか考えていませんでしたが、
歌う時の心情等内面にまで切り込んで導く、アイマスの偉い人!
しかも自ら歌いながら指導してるんですけど。
この人は一体何者なんだ?と。

ハッ!

アイドルマスターのアイドルたちが
どれもキャラ立ちしている秘密はコレか!と。
なんか、私が心配することはなかった。
作者の私以上に一生懸命になってくれる人たちがいるんだから。
仕事でやってる感じじゃなかったです。
むしろ、子供や孫を育ててる感じですね。

で、結局、ほぼとれていたのを、
石原さん鶴の一声で、1からやり直すことになったのです。
私はここでタイムアップでしたが、
夜中、とれたてのボーカルトラックを送ってもらって、
あそこから、ここまでのぼりつめたか、そうかー、と、
皆の努力に拍手喝采でした。

藍原さんとは休憩時間に一言二言お話しただけですが、
長時間のレコーディングに疲れも見せず、やる気まんまんでした。
志希の声をやっているというので、どんなフェロモン系かと思ったら、
私と同じ青森出身で上京したてだという!
そして、セクシーというよりキュート!
これからいっぱいブレイクして欲しいですね。

プロデューサーの皆さん、
一ノ瀬志希を今後ともよろしくお願いします!