その後も、私の趣味でのエキストラ出演は続いていて、
いいこともあれば、からぶりの時もあり、
しかし、撮影の現場を垣間みれることは、
クセになるようなおもしろさなんです。
ある撮影現場での人間観察がとてもおもしろかったので、
設定だけフィクションを交えてレポートします。
その日もまだ夜が明けないうちに
数十名の老若男女が都内某所に集まりました。
時代設定が古かったので、黒髪がいいだろうと思い。
私はわざわざ髪を黒く染めていきました。
1週間用と4週間用があり。
こんなのあって、
便利な時代!
衣装さんの前に並んだエキストラは、
なめるような視線で値踏みされ、服装チェックを受けます。
毎回思うのですが、この時は、まるで
人身売買所に来ているような気分になります。
それでも、少しでも高い評価をもらいたいために、
自然に「いい顔」をしている自分に気づきます。
それが人間のサガなのでしょう。
自分の「サガ」が正常に働いていることを知って
ちょっと感動するのです。
いい顔って
こんな顔。
髪型が今風の男子は、切ってもいいかと聞かれます。
切るのを拒否すると、一番目立たない役にまわされるので、
たいていが、髪を切るのを承諾します。
ここで、昔風のヘアスタイルに髪を切られてしまった人達は、
散髪組と呼ばれ、優遇されます。
この日のためだけに見た目をカスタマイズされた人々は、
カメラの近くに配置されるのです。
こんな感じで
切られてました。
女子もまた、見た目によってランクがつけられます。
今回の場面にふさわしい雰囲気の女性は
凝った衣装を与えられ、ヘアメイクをしてもらいます。
メイク組と呼ばれ、優遇されます。
ノーメイクで来てほしいと言われたので、
女子は皆、スッピンで来ていたのですが、
メイク組以外は、スッピンのままほっとかれ、
衣装もベージュやグレーなどの地味な古着を与えられます。
今回の撮影は、某集会所のシーンを撮影することになっていました。
集会所の中は、監督や俳優が群れ、華やいでいました。
あの中にはいって映画作りの空気をかんじたい!
と、エキストラの誰もが思っていたことでしょう。
しかし、ここでいきなり、大きな決定が下されました。
集会所の中にはいれる人と、はいれない人が決まったのです。
散髪組メイク組、そして数十名の選ばれた男子は、集会所の中の役。
そして残った人達は、集会所の外の役(通行人)に決まりました。
通行人はかばんをもたされ、かばん組と呼ばれることになります。
私はまさにこのかばん組に紛れ込んでいたのです。
(つづく)