東京タワー オカンとボクと、時々、オトン

チューリップと私


リリー・フランキーと松尾スズキは
私が好きなコラムニストです。
その二人が組んで映画を作るですと!?
常日頃からキングオブ脇役を自覚している私。
好きな人の映画のお役にたてたら、
こんなうれしことはない!と思ったので、
去年、エキストラに応募しました。
運良く、二日間、参加することができたのです。


そんなわけで、先週から公開がはじまった
東京タワー オカンとボクと、時々、オトン
劇場にて、確認してきました。
ワタクシの姿は、2シーンおさえました。
一瞬なので、うろ覚えですが、
皆さんにお知らせしておこうと思います。
パチンコ屋「天国」


ひとつは、巣鴨のパチンコ屋「天国」のシーン。
このパチンコ屋。
ここだけ昭和30年代か?という古い店で、
セットじゃないんです。現役なんです。
こんなすごいお店は国の重要文化財に指定するべきです!
私はこんな感じでピョコッと一瞬。



近眼のパチンコドランカー、のつもり。
昭和の設定だったので、一応それっぽい格好で行ったら、
衣装さんに「あなたはこっちだね。」と、
トンボみたいに細長くてピチピチコーディネートを
ほどこしていただきました。
(肌寒い日だったので、その晩、熱を出すのだが…)


近眼女、あだ名「トンボ」。
区議会議員の家庭に生まれる。
厳格に育てられた反動で人生の歯車が狂う。
郵便局勤務。日曜はパチプロと化す。
近所の店では、親にばれるので、
わざわざ隣の区まで打ちにゆく。
台に鼻をこすりつけるようなポーズが特徴。
そんなドラマがあるつもり。



もうワンシーンは、オカンが入院する病院にて。
ボクと平栗君が、オカンの病気の話をしている背後に、
若い看護婦さんが押す車椅子に乗って廊下に出てくるのが私。
生まれて初めて車椅子に乗りました。



その日、早朝に撮影した病院受付のシーンが終わって、
エキストラは控え室に集まっていました。
すると、メイクさんと衣装さんがやってきました。
昨夜、わくわくして眠れず、かなり疲れた顔をしていた私。
二人の目が同時に私の上にとまり、
「あなた、やってみる?」と言われました。
もちろん、病人役です。
私はキングオブ脇役であるがゆえに、
エキストラの中でも全く目立たなかったはずです。
その中から私を見出してくれたお二人の眼力は、
さすが映画人だ!と思いました。


車椅子の「早苗」。職業、保母。
婚期を逃し、職場では浮いた感あり。
人づきあいが苦手で、子供にも人気がない。
遠足で子供達を守ろうと、車にひかれる。
入院中、子供達がお見舞いにくるようになる。
今はがんばってリハビリの毎日。
復職したら、前よりがんばれそうな予感。
そんなドラマがあるつもり。



映画そのものは、つらすぎて、
正視できないようなシーンもありましたが、
淡々とこみあげてくるような映画でした。
若い頃のオカンが良かったです。
もちろん、ボクも良かったです。
いいなぁー!オダギリジョーは。
エキストラに参加はしたけれど、
役者さんに関するエピソードはほとんどなくて申し訳ありません。
でも、主役が出てくると、周囲の雰囲気が明らかに変わるので、
きっと、すごい影響力なんだろうな、と思いました。
スタッフは毎日のように主役と接してるはずなのに、
「まだまだ、主役がくるとわくわくしちゃうんです!」
って言う顔をしてるんです。
いい感じに緊張感が保たれているんだろうなぁ。
これから原作本を読もうとしている方、
後半をどこでいつ読むかは、
あらかじめ決めておくことをオススメします。
私は油断していたので、ある食堂で、ランチの後、
物語の後半にさしかかってしまいました。
ランチの客が帰って、夕方の営業に備えて、
店が「準備中」の札を下げる時間になっても帰れなくて、
そのテーブルにあったナプキンを
一枚残らず消費してしまいました。
私があまりに号泣しているので、
店員さんも「帰ってください」と言えなかったようです。
そして、これから映画を観に行く方、
トンボと早苗の人生にも、
思いを馳せていただければ、と思います。
早苗扮装時の写真
(すっぴん注意!)