・セガストア
私が過去、SEGAに入社できたのは、
一部の人のプッシュがあったからだと聞きます。
私のデモテープはゲーム音楽家を志す者としては、
かなりピントがずれていたので、
こんなのいれても使いモノにならないぞという意見が大半な中、
こんなのが1人ぐらいいてもいいじゃないか、と、
がんばってくれた先輩方がいて、ギリギリ入れたらしい、と。
当時のSEGAの主流はメガドライブというゲーム機で、
今のようにCDクオリティの音をそのまま使えませんでした。
そんなことも知らずに入社した私。
まずはパソコン(←触ったことなかった)とか、
プログラム(←コンサートのプログラムのほうがまだ思い浮かぶ)
とか覚えないと、メガドライブで音が鳴らせないと知って
血の気がさーっとひいたもんです。
つまりこの時点では「こいつは使いモノにならない」派が
全くもって正しかったわけです!
でも、私はツボにはまればなんとかなる子だったらしく、
先輩方の教え方や影響の与え方も素晴らしくて、
1本、メガドラの仕事を終える頃にはすっかり、
ゲーム音楽制作のおもしろさに目覚めていました。
ゲーム音楽の魅力に
とりつかれた私は、
後輩に教えるため
FM音源の
指南書まで書いた。
それがコレ、FMと亀。
けっこう分厚いの。
そこで、次にメガドラのゲームをまかされた時には、
本格的に、思う存分、実験することにしたんです。
入社して、一番楽しみながら作ったのが、この
「リスター・ザ・シューティングスター」だといっても過言ではない!
残念なことに、ゲームが発売された頃、
時代は、メガドライブからセガサターンへと移り変わり、
あれだけ培った技を駆使する日は二度と来ませんでした。
リスターの曲は、地味で内気な私が作る曲にしては、
最もファンキーで、南国で、はずんでるし、転がってます。
そう、聞けるようになったんですよー!
メガドライブラストアクションヒーローズっていうCDに、
全曲収録されて12/29発売です。
15年前のゲームの、初めての正式サントラです(涙)。
他にもPULSMAN、V.R.、COMIX ZONEが収録されて3枚組。
これを実現させてくれた奥成氏に感謝!
この時期、私はひそかな野望を抱いていたんです。
「よくしゃべるメガドライブを作る」ってこと。
だからこのプロジェクトにはいる直前に、
私がやっていた個人研究は、
FM音源で50音全部作る、っていう実験でした。
夢は大きくて、今の初音ミク的な、ね?
テキスト打ち込めば、歌ったり台詞言ったりして…
ってまぁ…素人同然の私には、無理でしたけどね…。
FMと亀の中身(クリックで拡大)
イラストつきで
わかりやすくした
つもり…
そんな時にリスターの仕事をもらったんです。
当時、久保田さんという天才サウンドプログラマーが、
「メガドライブでPCM音源を2音同時に使えるようにしてあげる!」
と言ってくれたんです。
「よくしゃべるメガドライブ」を目指していた私にとって、
これほどありがたいことはない!
なぜならPCM音源ってのは、その辺にある音を
録音(サンプリング)してそのまま使えるんです。
それが2音同時に鳴らせる、ってことは、
ゲームのキャラがしゃべってる間にも、
サンプリングした歌声とか、リズムサンプリングが、
ずっと聞こえている、ってことなんですけど…。
あー、こんなんじゃ全然わかんないですよね?
説明下手ですいません。
ともかく、よく歌ったりよくしゃべったりするゲームが実現したのは、
久保田さんのおかげです。(現在はジャズピアニスト)
実はFMでしゃべらす、という夢を捨てきれず、
オープニング曲で、森の呪術師の祈りの声を、
FMで作って曲中にいれこんだりはしてるんですよ。
是非これは買って聞いて、笑ってやって下さい。
当時を回想して寄稿もしましたので、
ライナーノーツもあわせてご覧下さい。
ゲームには収録されていない、DO DE DO DA(音楽の面の曲)の
ラガマフィンアレンジが収録されているのもお聞き逃しなく!
本物のラスタマンが歌ってます。
かなりかっこいいです。