理想の男性



むかしむかし、私は理想の男性を聞かれると
いつも困っておりました。
芸能人にたとえると?と聞かれると、
さらに困っておりました。
理想の男性なんていないわ、なんて
お高くとまるつもりはさらさらなかったんです。
あこがれの男性、いたんです。
芸能人といえば、芸能人なのです。
でも、きっと、言っても誰もわからんのです。


そこで、自分の理想の男性とメジャー路線というものを天秤にかけ、
私だけの方程式で、足して2で割るのに似たような処理をして、
「田口トモロヲ」
という答を出していました。
厳密には違うけどなんだか近い…的な人物です。
「好きなタイプってどんな人?」
「んー言ってもわかんないかも。」
「教えて教えてー。」
「じゃぁ、言うよ。田口トモロヲ。」
「…誰それ?」
私の中ではとてもメジャー路線な答でしたが、
それでも、田口トモロヲさえ、
当時は誰も知りませんでした。
今だったら、結構わかる人はいるんでしょうけど。
というわけで
「昔は坂本龍一さんだったけどね。」
と答えることも多かったです。
教授の知名度は非常に高く、答としても非常に珍重されました。
「しぶい!いいね!」
というコメントをいただきました。
それで、その頃の本当の理想の人は誰かっていうと、
「上野耕路」だったんです。
一番左が……

あぁ、ここを読んでいる皆さんの顔が目に見えます。
「誰それ。」って顔してます。
今も昔も誰も知らないのか。。
知らないよね。
でも、実は今、日本で大ブレイク中なんですよ!
なんで誰も気づかないんだろう。
といいますか、もっとスポットあてたげて!!
ちょっと!
スポット、そっちじゃなくてこっちよ!
キューピーのたらこの歌の作曲者ですよ。
上野耕路さん初の大ブレイクなんですよ。
当時、どこが好きだったかっていうと、
やはり一番は、天才的な作曲の頭脳。
そして、純和風のたたずまい。色白。
タキシードが似合う適度なおぼっちゃまっぽさ。
もちろん、ひとりでコンサートにも行きました。
熱い視線で彼をみつめていました。
背中を丸めてピアノを弾く姿はほんとに素敵でした。
時々、激しく動くところが最大の萌えポイント。
「あぁ、あんなにもの静かな耕路様でも、
 内には熱い情熱をひめていらっしゃるのね。」
とハンカチの端を噛んでいました。
女心は秋の空とはよくいいますが、
ご想像に違わず、今の理想のタイプは
全然、まるっきり、135度ぐらい違うんですけど、
かつての理想の人を、私は密かに応援しています。
たらこがんばれ!
ひょんなところで勝手に当て馬にされてしまった
田口トモロヲさんのことも、ずっと応援しています。
彼が出ている映画を見るとラッキー!と思います。
初監督作、アイデン&ティティは最高でした。