夜中三時に、泣き叫ぶ赤子を抱き、
カーテンを開けて、小さな夜景を眺めていたら、
とても悲しくなってきた。
この悲しさは何だろうと自分に問うてみたら、
それは「おうちに帰りたい。」という気持ちでした。
川崎から横浜のはずれに引っ越して1ヶ月ほどたちます。
現在、強烈なホームシックです。
あぁ、川崎帰りたい。川崎!あいらぶ川崎!
環境が悪いだの、ぶーぶー言いながら引っ越したけど、
私って、実は川崎大好きだったらしい。
別れてから気づく、元彼のいいところってこういうことね。
競輪場までは徒歩3分。
電光掲示板が見えるのでベランダからレース結果が丸わかり。
さらに北側の景色は川崎競馬場。
馬券を買ってきて家でレースを見学したこともある。
はじめてくる宅配の人が「すごい眺めですね〜。」と
ひとこと言わずにいられない素晴らしさ!
特にナイターの日は、走る馬の姿がとてもきれいだったし。
さらに、路上生活者用配給所がすぐそば!
今思えば、ヒューマンウォッチングに退屈することがなかった。
駅にも近くて、欲しいものはすべてそろった。
近所づきあいもいい感じで、深入りしないけど心地よい関係だった。
結局、実家時代をのぞけば、人生最長の7年間住んだ。
引っ越した理由は、妹の家に近づいて、
もっと頻繁に行き来したかったから。
でも、妹の家は「ど」がつく田舎で、
横浜に寄ったぐらいじゃ、全然近づかなかった。
新居には誰も寄りつかない。
結果、ホームシックですよ。
新居のいいところを探そうと、
毎日狂ったように近隣を探索していますが、成果もなく。
ひとつ良いことは、新居は低層マンションってこと。
前は、かなりの高層階で、落ちたらどうしよう、
っていう不安が常につきまとっていたから。
考えることは川崎のことばかり。
歩道橋のおじさん、今年は春をむかえられたかな。
歩道橋に、住んでないふりして実は住んでいる人がいたんです。
見た目はこざっぱりしていて、時々ギターもかなでる。
ここ数年は弦が切れてしまったみたいで、
弾いているところをあまり見たことがなかったけど。
そして、靴にだけは強いこだわりを持っていたんだと思います。
天気のいい日、歩道橋に腰掛けて、
運動靴をマジックペンで丁寧に丁寧に塗っていました。
ある日は、赤いマジックでチェック柄をかき、
またある日は、青いマジックで線を描いていました。
なるほど!と感心した私。
つまり、その靴は、ムラサキ色に。
新居近隣のおじさんは、おしゃれで紳士的な人ばかり。
なんと!バスで席をゆずってくれたり、
困っていると助けてくれるんですよ!
川崎で「おじさん」と言えば、
競馬か競輪帰りのおやじしか知らなかったので、
私の「おやじ」の認識がここへ来て大きく崩れだしました。
逆に親切すぎて、こっちの人きもい!とか思ったり。
おやじってのはもっと無遠慮がいい!下品がいい!
そう思わない?思わないか。
川崎住まいが長過ぎて、私、おかしなことになったかなぁ…。
ムラサキ色の靴