私の相棒が、パンの耳好きであり、かつ、
うちの家計がそれほど豊かではないこともあり、
パンの耳を手にいれられる場所を探すことにした。
しかし、近所には手ごろなパン屋さんがない。
あぁ、昔、羽田のセガで働いていた時には
パンの耳を何度も見かけたことがあったのに。
サラリーマン時代には、
パンの耳が必要になる日がくるとは
想像もしていなかったし、
誰が買うんだろう、と思ったものだ。
買うのは、将来の自分だったという…。
先にいってよー!
いや。
別にそんなに飢えてるわけじゃないんですけどね。
今もお茶とケーキを食べながら
この文章を喫茶店で書いているわけですし。
でも自分の生活の中で、どこを節約するか、
っていったら、お茶代よりも、CD代よりも
映画代よりも、化粧品代よりも、まず食費なわけです。
しかもパンとかごはんの主食の部分をけずりたい。
米はブレンド米か去年一昨年の古い米がいい。
もちろん一番安いタイ米も試したけど、
ちょっとまずくて食べられませんでした。
どうせ家の炊飯器は10年以上も前のもらいモノだから、
どんな米だろうと関係ないわい、という発想です。
そして、朝はパン食と決めている私は、
時々パンの耳をとりいれて、お安くできればいいなーと。
少し遠くまで歩いて、大きなパン屋を発見する。
「パンの耳だけって売ってますか?」
と聞いてみた。
店員さんは顔色ひとつ変えずに、
「少々お待ち下さい。」と
奥にはいってゆく。
そして奥で誰かと小声で話している声が聞こえて
戻ってくると、
「うちは、お売りはしていませんが、
さしあげる形にしております。
それでもよろしいですか?」
と、あたりをはばかるような声でいう。
そりゃよろしいでしょう!
ただってことだもんね?
「良いです!是非、下さい。」
というと、またしても顔色ひとつ変えずに
奥へさがり、奥の人と協議の挙句、
(思うに、奥にはパンの耳の番人がいるらしい)
ようやくパンの耳ひと袋を下げてもってきた。
「ありがとうございます。」
といってもらってきたけれど、
パンの耳をもらうのがこんなに面倒だとは思ってもいなかった。
店員さんは、2度も奥へさがっていったのだが、
なぜ、1度でブツを持ってこなかったのか?
2度も番人と協議する必要があっただろうか。
パンの耳を店頭に置かずに奥にかくしてあるのに、
きちんと包装済のものを用意してあるのも不思議だ。
あげる人を選んでいるのだろうか。
相棒にその話をすると、
「それはあれだ。
他に何も買わずに、パンの耳だけもらってきたのが悪い。
何か買ってから”パンの耳もついでにもらおうかしら”
と言えば、問題がなかったんだよ。」
とのこと。
そうか。
他になんか買って、
財布に余裕があることを
証明したほうが良かったのか。
たかがパンの耳をもらうのに、
気をつかわないといけないなんて、
「パンの耳道」大変なり!
でもくじけないぞ!
これは後から知ったことだが、
今どき、パンの耳をもらう人は
「犬の餌にするのだろう。」
ということになっているらしい。
ちゃんと人間が食べてます。
そんでもって、う・ま〜です。