どうもすいませんのKさん


あっという間に今日は発売日。
またまた「RADIO DCポロリ添え」のことです。
まだ話していないことがあったんです。
このCDのすごいところは、インナーのブックレット
すなわち、歌詞カードにもあります。
「このCDがすごい」理由の50%は占めているでしょう!
もともと、ブックレットは「読み物」としておもしろくしようと思って
大量のテキストを用意していましたが、果たして、
その量にデザイナーさんが耐えられるかということが心配でした。
初めてデザイナーのKさん(女性)に会った日のことです。
初対面だと思い、名刺を用意していたのですが
「佐々木さん、おひさしぶりです!」
といわれたので、記憶の糸をたぐりよせたところ、
いました!この方。私の記憶の中に。
「ハスキーボイスの人」のリストにはいってました。
まだルーマニアも世に出ていなかった4年前に
「ラジオDC」というCDを出した時、
ジャケットのデザインをしてくれたKさんだったのです。
もう、忘れるわけがないです。
Kさんは、その日も、チューリップ帽を目深かぶり、
オレンジ系極彩色の70年代ヒッピー姿でやってきていて、
そうでした、パンチの効いた竹で割ったような人でした。
4年前とただひとつ違っていたことは、
秘書らしき女性を連れてきたことです。
しかも、明らかに日本人ではない人です。
名刺にもカタカナで名前が書いてありました。
Kさん、ちょっとえらくなったんだぁー、と思いました。
そんな思いがけない再会を果たしたところで
早速、Kさん達2人とマーベラス(CDの発売元)の方を交え、
打ち合わせにはいりました。
歌詞カードは、歌詞だけじゃなくて、新聞風にして
たくさん記事をのせたいこと、嘘の広告記事などものせたいこと、
もちろん白黒にしたいこと、一部は手書きにしたいこと、
などをおそるおそる話してみました。
ふつう、デザイナーに生まれたからには、白黒でなく
カラーでやりたいだろうし、嘘の広告作ってーといっても、
そこに描く文字もきっちり出してくれないとできません、
というだろうし、文字が多いなんてもってのほか!
あぁ、ましてや、手書きでやってくれなんて、
「アホか」
と一喝されてもしょうがないことばかりでした。
が、意外なことに、Kさんはいやがるどころかノッてきたのです。
だったら紙質もちょっとザラついた紙にしようとか、
テレビ番組表みたいな感じも取り入れようとか、
自分たちの首をしめるような提案をたくさんしてくれました。
最後にKさんは
「いやー今、仕事がたてこんでるんで、土日にやりますよ。ガッハッハ!」
とおっしゃいました。(注:Kさんはうら若き女性です)
つまりこれはなにを意味するかというと、
新聞づくりは仕事じゃなくて道楽でやりたい、ということなのです。
楽しんでやってくれる、ってことなのです。
音も楽しく作ったけど、デザインも楽しく作ってもらえるなんて
願ってもないことでした。
「データは、私じゃなくて彼女におくって下さい。
 私けっこう、ごちゃごちゃにしてて
 わけわかんなくなっちゃうので、ガッハッハ!」
 (注:Kさんはロングヘアの美女です)
というわけで、その後、私は、Kさんの秘書らしき外国人の女性に
大量の文字データをおくることになりました。
私は、小学生程度の漢字だけを使い、簡単なメール文を作成しました。
外国の方なので、漢字は苦手だろうと思ったんです。
ちょっと、頭の弱い人のような文章になったけど、
きっと、このほうがわかりやすいだろう。
あたしって気がきくーと思ってました。
ところが、お察しの通り、彼女から来た返信は
達者な日本語で、漢字もばりばり使用してある…。
「佐々木さんおもしろいっす」
と、手慣れた感じで書いてある。
あとで彼女の書いた絵を見ることになるのですが
(秘書ではなくデザイナーさんだった)
味のある、墨絵のような絵を描く。
私はひそかに、赤面していたのでした。
出来上がったブックレットは、本当に読みごたえたっぷり
隅から隅まで読んでねー。
音に興味はなくても、これ読むだけでも楽しいので、
ぜひ、今日はCD屋へいって探してみてください。
amazonやなんかでも買えますので。
さて。Kさんの口癖、それは
「どうもすいません」「ほんっとすいません」でした。
今度会う時には、一度の逢瀬で何回出るかカウントしよう、
そう思う私でした。