単に、2が並んだよ
ってことなんですけどね。
小学校の先生をしている友達から電話がきて
「また手伝ってくれない?」
といわれた。
3~4年前。
千葉県の某小学校に講師として招かれたことがある。
子供達が将来なりたい職業を具体的にイメージできるよう、
他のそうそうたるゲストとともに呼ばれたのだ。
一緒に呼ばれていた介護の仕事をしている方は、
声をつまらせながら感動的なスピーチをした。
オリンピック出場選手の方は、
いかにスポーツが精神を鍛えるのか、さわやかに語った。
そして、私の番。
ゲームクリエイターとして呼ばれていた私。
やっべぇーと思った。
小学生といえば子供だと思っていたので、
ちょっと楽しくて簡単なムービーを作って、
「みんなー!テレビゲームは好きカーイ?」
なんて愉快なノリでやろうと思っていたのだ。
こんな真面目な流れで呼ばれていたとは露知らず。
しかも、小学生は考えていた以上に大人で、
私のノリ(?)が思ったより通じてなくて、
投げられる質問の内容も高度だったので、
私はシドロモドロのウオウサオウで、
ホウホウノテイで逃げ帰ってきたのだ。
あの時、自分の仕事の実例として
「鼻ピコキャッチ」というウェブゲームを見せた。
それで「鼻ピコってね、鼻○○のことなんだよ。」
と説明してしまって、
体育館の中にさーっと波がひいたようなな静けさが‥。
友達は、あの時の講義を受けた子供は、
今、中三なんだよといっていた。
そして、
「あの時のきみの話、彼らの役にたってるかなぁ‥。」
と電話の向こうでポツリとつぶやいた。
ドキドキドキ。
え?それは
「役にたってるかなぁ、いやたってないだろう。」
という自問自答風を装った婉曲的否定を意味するのか?
と一瞬疑ったが、私の親友にはそんな面倒臭い人はいない。
素直にうけとって
「たってるといいんだけどねぇ。」
とつなげた。
え?ちょっと待て。中三?
三年たつと小学生は中三になってしまうのか!
受験戦争とか恋とか愛とか知ってしまうのか!
なんだそれは!
なんてスピーディな変わり身!
大人なんて三年たってもほとんど変わらないのに。
そんなわけでして、
講義だとちょっと‥準備もあるし‥緊張するし‥
と、もごもごいって断った。
で、結局、将来作曲家になりたいある少女のために、
質問に答えて欲しいといわれ、
それだったら喜んで!ということで引き受けた。
何だったらそっちに行くからね!って。
早速、その女の子から、
深窓のご令嬢のように質素で丁寧な書簡が届く。
今回、作曲家のことを調べる趣旨と
聞きたいことを箇条書きで記してあった。
私の思う小学生の手紙とは、
キャラクター便箋にシールがペタペタ貼ってあって、
ちょっと不思議文字で、びっくりマークとか
星マークとか意味不明マークで文中をデコレートしてあって、
うっかり丁寧語も忘れてるぐらいの
「テヘ!」なイメージだった。
事前に、こういう物静かで達筆なお手紙を
もらっておいてよかった‥。
違うんだ。
うん。違うんだよ、今の小学生は。
大人に会いに行くより緊張しちゃうよ。
私の周囲の仕事仲間たちより、
小学生のほうがずっと大人ぽいです。
みんなどこで道をあやまるんだろうなぁ‥。
ねぇ?大人の皆さん?