ブックオフのフキゲンな客


フキゲン
(アサヒ飲料のドリンク)


仕事で、4コマ漫画を読む必要に迫られた。
不条理系とか、ほのぼのとか、ギャグとか、
とりあえず、いろいろ読んどいたほうがいいかなと思ったので、
中古でたくさん買おうと、ブックオフに行った。
ブックオフは嫌いだ。



フキゲン
(ワンニャンランドの猫)


なぜなら、店員がうるさいから。
店員は、店内に客がいらしたから、というわけではなく、
定期的に「いらっしゃいませー」と言う決まりになっている。
リーダーみたいな人が「いらっしゃいませー」というと、
それに便乗して言ったりする。
店内をいつも「いらっしゃいませー」の声で
満たしておこうという戦略なんだろうが、
ひとけの少ない一角で、本を探している時、
唐突に大声を出されて何度ビックリしたことか!
本屋ってのは本来、
自分の内面と語り合いながら本を探せるよう、
静かであるべきではないのか?
お腹が鳴る音が聞こえやしないかビクビクするぐらい
静かであるべきではないのか?

フキゲン
(渋谷ガード下の壁画)


昨日のブックオフはさらにヒドいことになっていた。
本屋なのに、派手に福引きをやっているのだ。
はずれ以外が出ると鐘を鳴らし、店内中の店員全員で
「おめでとうございます!」ってのをやっている。
うざってぇ!
こんなとこ、買うもん買ったらさっさと帰るぞ!
…といいつつも、買う本が決まったのは1時間後であった。
どんなにブックオフが嫌いでも、
この品揃えの前には、来ざるを得ない。
欲しかった作家の漫画本の第1巻がほぼ揃った。
その中から7冊を厳選した。

フキゲン
(小田原駅の二宮尊徳)


しかしこの1時間で、私のイライラ度は、
既にメーターを振り切っていた。
福引きがうるさすぎた。
たかが100円のサービス券が当たるだけで鐘を鳴らしているのだ。
そのたびに、店内一斉に「おめでとうございます」の声。
不機嫌な顔で会計に行き、会員カードを出すと、
今はカードの移行期間でポイントがつかないんです、
とわけのわからんことを言われてしまい、
本当は、そんなことどーでも良かったんだけど、
虫の居所が悪かったせいで、ますます不機嫌になる。
しかしそんな私にも福引きをやる権利はあるらしい。

フキゲン
(地下鉄駅の水槽)


もちろん、やらずに帰ろうと思っていた。
でも福引きコーナーにいる人が、
会計を終えた私を見て、めざとく笑いかけてきたので、
流れでしょうがなくやる羽目に。
はいはい回せばいいんでしょ、みたいに、
よそ見しながらわるーい感じでまわして、
出てきた玉の色すら見ずにいたのだが、
店員が玉を見てあわてている。
「すごい。2等と4等ですよ。」
そして彼らは例の鐘を高らかに、高らかに、鳴らした。
「2等と4等を当てたお客様がいらっしゃいます。」
すかさず「おめでとーございます!!!」と店内大絶叫。
客達も何事か、とコッチのほうを見ている。
その後、間髪いれずに、店内アナウンスがはいった。
「お知らせいたします。
 ただいまー、福引き会場にてー、2等と4等をあてたー
 お客様がいらっしゃいますー。
 おめでとうございますー。」

フキゲン
(フリーダ・カーロ肖像)


私はといえば、すごくわるーい感じに構えていたので、
そこから「当選した喜びの客」へのシフトがうまくいかず、
笑顔もなく、中途半端にぼーっと立っていた。
4等は100円のサービス券で、
2等は1000円のサービス券だった。
「今日、2等が当たる方がでると思わなかったので、
 1000円券をご用意していなかったんです。
 50円券20枚でいいでしょうか?」

フキゲン
(シーサー展のお気に入り)


5分後、私は50円券が22枚もつまった
パンパンに太った財布を手に、
放心状態でブックオフを後にしたのであった。
今回のところは…ブックオフ、許しておくか。