サッカーとの距離


てるてる坊主

ワールドカップだ。
いやなシーズンだ。
うらやましすぎるからです。
サッカーが好きな人のことが。
すごく楽しそう。
試合を見ても私は全然わくわくできないのに。
人より損してる気分になるこのシーズン。


私は「サッカーと坂の町」という
ダジャレスローガンを持つ田舎町で育ちまして、
学校で、強制的にサッカーの応援にかり出されたので、
サッカー観戦には、余計な思い出がくっついてくるんです。
というわけで、サッカーと坂の町を出てからは、
できるだけサッカーとは縁遠いところにいたいのです。
そんな私が、サッカーに近づいてしまった話。
去年からロックの歴史にはまっている私は、
彼らのドラッグ癖にも多大なる興味を持ちました。
誰がドラッグで死んだ、とか、誰が立ちなおった、とか、
そういう知識をしこたまためこみました。
特におもしろいのがヒッピー全盛期。
当時のローリング・ストーンズのツアーには、
なぜか作家や芸術家や黒魔術師がぞろぞろついてくる。
一緒に生活をして一緒にツアー場所をまわっているんです。
関係ないのに、だらだら群れているんです。
それが、カポーティとか、ギンズバーグとか、ウォーホールとかで、
ビートカルチャー、ポップカルチャーの蒼々たる面々!
ドラッグと縁の深いカルチャーたちです。
ロックから、ドラッグカルチャーすごいぞ、みたいになって、
そこで私がバロウズなんか読みはじめたら、
ものすごくかっこよかったかもしれませんけど、
その手の書籍は読みづらくて食指が動かず。
でもその頃の映画は何本も漁りました。
そのうち、おい日本人!その時日本人は何やってたんだ!ってなって、
そういえば、日本人にドラッグオタクがいた!と思い出したのが、中島らも。
中島らものドラッグ体験エッセイ「アマニタ・パンセリナ」を読む。

らもさんは、やばいドラッグではなく、
がまの油とか、バナナとか、サボテンとか、
咳止めシロップとか、なんとか合法の域で、
幻覚を見れないかアレコレ試した人で、
手作り感覚のドラッグ体験本はとてもおもしろかったです。
その本には、アレをやってた頃この本を書いた、
と紹介されている本があり、
その精神状態でらもさんは一体何を書いたんだ?
と興味を持って、その本「ガダラの豚」を読み始めました。

これは、アフリカの呪術師と、日本の大学教授の
壮大なるバトルを描いた冒険小説だったのですが、
これもまたとてもおもしろく読みました。
それによると呪術がアフリカ人に効くのは、
「え、オレ、呪われちゃった?」と思い込むことで、
免疫力が落ちたりして、体調が悪くなってゆくという
逆プラシーボ(ニセ薬)効果なのではないか、と。
でも大丈夫。
呪われたとしても、呪いをとく専門家もちゃんといるんです。
彼らは依頼人の家の軒下などから、
「鶏のクビが埋まってました」と、呪いの品(エケヤ)を探し、
依頼人の目の前で、エケヤを燃やします。
すると、呪いからきていた現象は、不思議と消えてしまうんだそうです。
実はその鶏のクビは、専門家の家にもともとあったものを
こっそり持ってきただけだったりする、というオチがついていましたが。
ガダラの豚は3巻まであるのですが、
先日、喫茶店で最終刊を読み終えたんです。
その後帰宅してネットラジオを聞いていたら、
南アフリカのサッカーチームは、
呪術師を連れて歩いている、
という話が耳にはいってきました。
まさに、エケヤを使ったりしている、と。
あれ!それ!
すごい!つながった!
鳥肌!
…とこういうことがありまして、
それが、私と最も縁遠いと思っていたワールドカップと、
私の最近の興味が、スレスレで接近した瞬間でした。
しかし、つながったのはその一瞬だけで、
たまには試合をみてみようか、という発想にもならず、
私とサッカーの距離は、今こうしてる間にも、
どんどん遠ざかっているのでした。
↓今読んでいる本(またロックに戻ってきた)