ナナナが出てくるお話を覚えているでしょうか?
あのお話の脚本を書いた坂元裕二さんが、
このたび、向田邦子賞を受賞されました。
おめでとうございます!
「ルーマニア」と「向田邦子賞」なんて、
本来何の接点もない、かけ離れたものですが、
坂元さんがいることによって、
向田邦子賞を中心にキーワードビジュアライザーを作ると、
かなり近いところで「ルーマニア」につながるってことです。
これはすごいことです!
一昨日、帝国ホテルで贈賞式が開かれ、私も参加してきました。
受賞した作品は、昨年フジ系で放送された
「わたしたちの教科書」の脚本だったので、
主演の菅野美穂さんをはじめとする俳優さん達も
祝福の言葉を述べられていました。
わたしたちの教科書
菅野美穂さんのお祝いスピーチの中で、
「坂元さんは普段、とてもおとなしくて、
大丈夫かなと思うぐらいの人なのですが、
今日この場でちゃんとスピーチしているのを見て、
がんばれ、ってお母さんのような気持ちになりました。」(うろ覚え)
この言葉に、私もブンブンうなずいてしまいまいた。
私も、会場にはいってまず、坂元さんが、
ちゃんとスーツを着ていたことに安心したのです。
今まで、アロハ姿とパーカー姿しか見た事がなかったし、
ルーマニアの打ち上げ会場には、
TSUTAYAのレンタル袋片手に現れるほどラフな人ですから。
当時プロデューサーだった牧野さんも一緒だったのですが、
こんな話を聞きました。
坂元さんとギャラの話になった時に、
タダでいいです、と言われたそうです。
でも、それじゃぁ大人として何なので…
と牧野さんが言うと
「では、じゃんけんして僕が買ったら100万下さい。
負けたらただでやります。」
じゃんけんは、牧野さんが勝ちましたが、
あとでお金はきっちり払ったと言ってました。
そんな伝説をたくさん持っていそうな坂元さん。
各界の著名な方々もスピーチをしたのですが、
口をそろえて、坂元さんの脚本には無駄な台詞がひとつもなく、
どの台詞も、力強くて印象に残るとおっしゃっていました。
中でも、私の心に一番ささったことがあります。
TVの脚本家って、たくさんの理不尽なリテイクや注文を
消化しなきゃいけない立場だと思うのです。
このアイドルの台詞を増やしてくれとか、
スポンサーの商品を使って見せ場を作れとかね。
そんな中、自分の信念とかメッセージを伝えたいなんて、
夢のまた夢だと思うんですよね。
私も、脚本や音楽に山ほどリテイクをもらうんですけど、
時々、こうしないでこうやればいいのになぁ、って
すごく残念に思いながら、自分を殺して修正することがあります。
そんなやるせない気分との折り合いのつけ方を、未だ模索中です。
そういうのが山ほどある中で、評価されるってすごいことですよね。
しかもですよ。
「坂元さんは理不尽なリテイクがあっても、
必ずミラクルをおこすんです!」
と言われてました。
もう…それは…ほんとに…もう、なんというか…神?
私なんて、つい最近提出した脚本のリテイクで、
「台詞は、いりません。」っていわれちゃいましたからね…。
久しぶりに「ポロリ青春」を立ち上げたい気分になりました。
坂元さんのシナリオを、台詞をかみしめながらやってみます。
そんな坂元さん最新作は、7月スタートのフジ系月9ドラマ。
太陽と海の教室。主演、織田裕二。